F# 向けテスティングフレームワークPersimmonのv4系リリース

だいたい作業し終えたので告知です。

https://www.nuget.org/packages/Persimmon/4.0.2

https://www.nuget.org/packages/Persimmon.TestAdapter/0.11.0

https://www.nuget.org/packages/Persimmon.Dried/4.0.1

https://www.nuget.org/packages/Persimmon.MuscleAssert/3.0.0

https://www.nuget.org/packages/Persimmon.Script/4.0.0

https://www.nuget.org/packages/Persimmon.Unquote/0.2.0

paket.templateに慣れていなくてpatch versionが少しだけ上がってます…。

例外として、PersimmockはPersimmon非依存なので特にアップデートはありません。

Fake.Persimmonについては後述します。

netstandard1.6 or netstandard2.0サポート

上記で紹介したライブラリはどちらかに対応しています。 ようやくスタートラインに立てた…。

FSharp.Core 4.5.xが利用可能

ユーザ側はFSharp.Coreのバージョンを気にしなくて良くなったので*1新しめのFSharp.Coreでも動くはずです。

これはだいたい id:htid46 さんのおかげです、ありがとうございました。

net40以下 & PCLドロップ

FSharp.Core 4.2.x以降サポートされなくなったframeworkをサポートから外しました。 もしこれらの環境で使いたい場合はPersimmon 3系以前を使ってください。

Fake.Persimmon

FAKE 5で命名規約がかなり変わったこともあってdeprecatedです。

もし使いたいなら id:htid46 さんがgistに試作品を用意してくださったのでこれを使ってください。

https://gist.github.com/hafuu/ea5b0140d01beb97f10ed20079cdcf72

今後の予定

ドキュメントが散らばりがちなのでgithub.ioに作る予定です。 というかFSharp.Formattingがもう厳しい…。

あとPersimmon.Templatesはそのうち更新します。

*1:今まで無理だったのかよ、というツッコミは…ごめんなさい

F# 4.5の話

気が付いたら nugetにFSharp.Core 4.5.0がリリースされていたので、4.5について雑多に書きなぐります。

Versioning

F# はこれまで 4.0から4.1へとマイナーバージョンをあげていました。 ところが今回はF# 4.5、間の3つをスキップしています。 スキップした理由は fslang-designで確認できます。

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/tooling/FST-1004-versioning-plan.md

There will be no F# 4.2, F# 4.3, or F# 4.4 language version - it will skip to F# 4.5. This is because it will allow versions of the F# language, FSharp.Core, and FSharp.Core NuGet package to line up in a VS 15.7 timeframe.

(F# では言語、FSharp.Core(assembly)、FSharp.Core nugetパッケージという3つのバージョンを知っておく必要があります)

新機能

F# 4.5とFSharp.Core 4.5.0に追加された機能はRFCで詳細を確認できます。

言語: https://github.com/fsharp/fslang-design/tree/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp-4.5

ライブラリ: https://github.com/fsharp/fslang-design/tree/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp.Core-4.5.0.0

言語的な意味でのF# 4.5はVS 15.8を待つことになりますが、FSharp.Coreのほうは既に使えるので試してみると良いかと。

まぁ、それだけでこの記事終わりは味気ないのでかいつまんで紹介。

RFC FS-1037

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/master/FSharp-4.5/FS-1037-subsumption-for-union-constructors.md

かつてのバージョンでは判別共用体のコンストラクタとパイプライン演算子の組み合わせによってはコンパイルに失敗します(パイプラインを使わない場合は通る)が、4.5からは通るようになるという話。

RFC FS-1047

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp-4.5/FS-1047-match-bang.md

コンピュテーション式にmatch!が追加されます。 コンパイル時にlet!matchに展開されるのでバイナリ互換は保たれるはず。

もちろんエディタやコンパイラはF# 4.5以降でないと認識できない。

RFC FS-1053

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp-4.5/FS-1053-span.md

.NETの新機能としてSpanが追加されたので、F# でもサポート。 色々と型が追加されているけれど紹介が大変面倒なのでそのうち別記事を書きます。

RFC FS-1054

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp-4.5/FS-1054-undent-list-args.md

リストや配列リテラルのインデントルールが緩和されるらしい。

"undentation" (i.e. relaxations to the indentation rules)

という造語(?)の説明を読み飛ばすとひどい目にあう。

RFC FS-1055

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp-4.5/FS-1055-subsumption-for-yield-in-sequence-expression.md

リストや配列リテラルではyieldが使えるのですが、型によってはupcastを明示する必要がありました。 このupcastが不要になるよという話。

RFC FS-1057

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp-4.5/FS-1058-make-enum-cases-public.md

F# におけるenum生成の変更。

RFC FS-1045

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp.Core-4.5.0.0/FS-1045-func-to-fsharpfunc-overloads.md

Add new FuncConvert.FromFunc and FuncConvert.FromAction APIs.

RFC FS-1050

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp.Core-4.5.0.0/FS-1050-trygetvalue-map.md

MapTryGetValueが追加されました。 値返却時にallocationが不要な分performance-friendlyらしい。

RFC FS-1039

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp.Core-4.5.0.0/FS-1057-valueoption.md

sturctなoptionであるValueOption型と、voptionというtype aliasが追加されました。

FS-1058

https://github.com/fsharp/fslang-design/blob/69c7c47931f8205c1cdf28d5819d675de734bd8e/FSharp.Core-4.5.0.0/FS-1059-improve-async-stack-traces.md

asyncのstack traceが改善されたらしいです。 詳しくは上記リンクを読んでください。

F# 向けモックライブラリPersimmockを試作

モックフレームワークやモックライブラリは.NET界隈にいくつかあって、特にF#にはFoqがあるわけですが、現状で満足か、と問われると微妙な顔持ちになります。

以下、1年半くらい前にFoqの行けてないところをzeclさんに尋ねたときの会話です。

実際、Foqは(おそらく意図的に)緩めのAPIが定義されています。 例えばMock<IHoge>().Setup(fun mock -> <@ mock.Hoge(any(),any()) @>).Calls<string*int>(fun (_,x) -> x)だと、mock.Hoge(any())でもコンパイルに成功するはずです(テストは失敗する)。 .Calls<string*int>(fun (_,x) -> x)も引数の型をみているわけではなく、<string*int>というユーザの自己申告を信じています。 仕方がないといえばそこまでですが、もう少し型安全に挑戦してみても良いのではないか、という気持ちが少し芽生えます。

というわけでPersimmockというライブラリを試作しました。

解説?

https://www.nuget.org/packages/Persimmock/0.0.1

https://github.com/persimmon-projects/Persimmock

名称的にはPersimmonの系譜ですが、現状はPersimmon非依存です。 1年前にリポジトリだけ作って放置していたものを、謎の気力上昇によって2日くらいででっちあげた感じです。

このライブラリを1行で説明すると”ガワ変えのFoq”です。 どのくらいFoqかというと、動的生成部分やVerification部分のAPIはそのまま拝借した程度にはFoqです。

mock<IHoges> {
  method (fun mock -> mock.Hoge)
  call (fun (_, x) -> x)
}

こんな感じで書けます。 コンピュテーション式なのは、ReflectedDefinition(true)が使えるいい感じのAPIを思いつかなかったからです。

メソッドの引数の型を取るためにメソッドを直接とります。 FoqのMethodとほぼ同一です。

mock<IHoges> {
  setup (fun mock -> mock.Get(It.IsAny(), It.IsAny()))
  hook (fun (_, x: int) -> x)
}

いちおうFoqらしい書き方もできますが、基本推奨しません。 前者だとオーバーロードメソッドやsetterがうまく処理できないので緊急回避的に残した次第(どうやったらsetterを関数として取得できるんだ…?)。

hookは名前が思いつかずとりあえずで付けたものなので、たぶんそのうち変わります。

mock<IFuga> {
  property (fun x -> x.StringProperty)
  returns (fun () -> value)
}

プロパティは別APIで、returnsには即値を渡せません。 パフォーマンスと書きやすさとコンピュテーション式でオーバーロードできない問題を天秤にかけた結果です。

let xs = mock<IList<int>> {
  method (fun xs -> xs.Contains)
  args (any<int>)
  returns (fun () -> true)
}
xs.Contains(1) |> ignore
Mock.Verify(<@ xs.Contains(0) @>, never)
Mock.Verify(<@ xs.Contains(any<int>) @>, once)

argsで引数を渡します。 頑張って型安全みをだしてみましたが、かわりにジェネリックメソッドに対して無力になりやすいです…。

Foqのanyだと型推論が誤作動して2引数をタプルとして解釈し、実行時にエラーになりやすかったため、anyは型パラメータを明示する形にしました。 ただし、その分融通が利きません。 あえて型推論に身を任せたい場合はIt.IsAny()を使います。

VerifyはFoqそのままなので特になし。

未実装機能

Mock.~ByNameは型安全にできないのであえて実装していません。

Mock.Asはなんか過剰な気がしたのと、現状の実装と相性が悪すぎたので実装していません。

まとめ

型安全にしようとするとどこかが割を食う、ということがよくわかる試作結果でした。 もう少しどうにかできないものか…研究は続きそうです。

Foqのバックエンドよくできているので、ぶっちゃけそんなに手を入れる必要はないと思っています。

余談

ここまで作っておいてなんですが、個人的にはinterface + オブジェクト式でやっていこうなという気持ちになりました。

paket.referenceで複数のバージョン依存を設定する方法

.NET Core SDKというかnew fsprojになってから、以下のような依存関係を書く機会によく遭遇する。

<ItemGroup Condition="'$(TargetFramework)'=='net45'">
  <PackageReference Include="FSharp.Core" Version="3.1.2.5" />
</ItemGroup>
<ItemGroup Condition="'$(TargetFramework)'=='netstandard1.6'">
  <PackageReference Include="FSharp.Core" Version="4.1.18" />
</ItemGroup>

古い環境ではなるべく最低ラインのバージョンを指定しつつ、netstandardでは比較的新しめのバージョンを指定するというもの。 ただこの書き方は現時点のVS2017だとちゃんと認識されないので困った。

というわけでこれと同等の書き方をPaketで再現させる。

まずはpaket.dependenciesを用意。

framework: netstandard1.6
source https://api.nuget.org/v3/index.json

nuget FSharp.Core >= 4.1.18 lowest_matching:true

group Legacy
  framework: net45
  source https://api.nuget.org/v3/index.json

  nuget FSharp.Core >= 3.1.2.5 lowest_matching:true

framework targetごとにグループをわけておく。 これで異なるバージョンの、最も小さいバージョンが指定できる。

paket.reference側では次のように記述する。

FSharp.Core
group Legacy
  FSharp.Core

二つのグループについて依存関係を追加している。 これで、frameworkごとに異なるバージョンを指定できる。 この方法だとVS2017も正しく依存関係を認識する。

ちなみにpaket.templateでは、以下のようにLOCKEDVERSION-グループ名で記述する。

dependencies
  framework: net45
    FSharp.Core >= LOCKEDVERSION-Legacy
  framework: netstandard1.6
    FSharp.Core >= LOCKEDVERSION

某講座のミニゲームを F# で実装してみよう

https://dwango.github.io/articles/shachiku-chan-vol3/この記事関連で以下の反応をみかけた。

じゃあ試しにやってみましょうか、F# (というかFable)で。

https://github.com/pocketberserker/SCV3

実質の実装箇所は以下。

https://github.com/pocketberserker/SCV3/blob/11dc1bece095314b4118e5350530f635576bedb2/src/App.fs

  • 面倒だったので全部floatで操作
  • loopの第2引数は使わないけど定義しておかないとBrowser.FrameRequestCallbackと型があわなくて怒られる
  • U3.Case1の初見殺し感よ
  • addEventListner系に渡す関数は雑に作りたかったのでnullを返しておく(つらい…)
  • 本当はBrowser.document.getElementById("canvas")canvasを取得したかったが、なぜか取得できなかったのでBrowser.document.getElementsByTagName_canvas().[0]お茶を濁す(そのうち調べます…)
  • 元コードが全力副作用なので素直に移植したらそりゃ代入祭りになるよね、という気持ち

F# で `a == 1 && a == 2 && a == 3` と `2 + 2 == 5`

もう誰かやってるかもしれない。 記事にネタがなくて困っていたので許して。

a == 1 && a == 2 && a == 3

https://stackoverflow.com/questions/48270127/can-a-1-a-2-a-3-ever-evaluate-to-true

let (&&) _ _ = true

警告されるが

warning FS0086: The '&&' operator should not normally be redefined. Consider using a different operator name

実行可能(以下>;;がついた部分はfsharp interactive)

> let a = 1;;            
val a : int = 1

> a = 1 && a = 2 && a = 3;;
val it : bool = true

2 + 2 == 5

加算は警告なし。

let (+) _ _ = 5
> 2 + 2 = 5;;
val it : bool = true

=だと

let (=) _ _ = 5

警告あり

warning FS0086: The '=' operator should not normally be redefined. To define equality semantics for a type, override the 'Object.Equals' member in the definition of that type.

番外編

let (+) _ _ = "ミソスープ"
1 + 1 |> printfn "%A"

あるいは、パイプライン演算子をミソスープ出力器にする。

let (|>) _ _ = printfn "ミソスープ"
1 + 1 |> printfn "%A"

???「ところで、printfnをミソスープにしてもかまわんのだろう?」

let printfn _ _ = printfn "ミソスープ"
1 + 1 |> printfn "%A"

???「ミソスープだけを作る機械かよ!?」

F# を使って雑にExcelから取り出したデータをElasticsearchに放り込む

この記事はF# Advent Calendar 2017の25日目の記事です。 大遅刻しましたごめんなさい…。

とあるExcelファイルがでかすぎて閲覧するのに苦痛だったので書きなぐった時のメモ。 .NET Coreです。

<Project Sdk="Microsoft.NET.Sdk">
  <PropertyGroup>
    <OutputType>Exe</OutputType>
    <TargetFramework>netcoreapp2.0</TargetFramework>
  </PropertyGroup>
  <ItemGroup>
    <Compile Include="Program.fs" />
  </ItemGroup>
  <ItemGroup>
    <PackageReference Include="EPPlus" Version="4.5.0.1-beta" />
    <PackageReference Include="Nest" Version="5.6.0" />
  </ItemGroup>
</Project>

まだbeta段階ですがEPPlusもnetstandard版があります。

open System
open System.IO
open OfficeOpenXml
open Nest

let getSheet (sheet: string) (excel: ExcelPackage) =
  excel.Workbook.Worksheets.[sheet]

type Questionnaire = {
  Value: string
}

let getQuestionnaire (excel: ExcelPackage) =
  let sheet = getSheet "アンケート" excel
  seq {
    for i in [ 2 .. Seq.length sheet.Cells - 1] ->
      {
        Value = sheet.Cells.[i, 1].Text
      }
  }

let questionnairesIndex = IndexName.op_Implicit "questionnaires"

let createIndex (name: IndexName) (client: ElasticClient) =
  client.CreateIndex(name)
  |> ignore

let insertQuestionnaire (client: ElasticClient) (messages: Questionnaire seq) =
  client.IndexMany(messages, questionnairesIndex, TypeName.op_Implicit "questionnaire")
  |> ignore

[<EntryPoint>]
let main argv =

  let file = argv.[0]
  let url = argv.[1]
  let user = argv.[2]
  let pass = argv.[3]

  use excel = new ExcelPackage(File.OpenRead(file))

  printfn "try to connect %s" url

  use settings =
    (new ConnectionSettings(Uri(url)))
      .BasicAuthentication(user, pass)
      .DisableDirectStreaming()
  let client = ElasticClient(settings)

  createIndex questionnairesIndex client

  getQuestionnaire excel
  |> insertQuestionnaire client

  0

仕様だったりCellにheaderが付いていた関係だったりでindexが少々ずれていますが気にしないでください。 雑に取得してdockerで立ち上げたElasticsearchに放り込むくらいだったらこれで十分ですはい。

とはいえElasticsearch 6.0系からmulti typeが廃止されたという事実に気づかずどハマりしましたが…。